をかだかずひろと申します。ちばの大学生です。文字研究が専門で、とりわけ日本語でつかう文字に興味があります。また、ひろく活字や組版技術に興味があり、以前かなフォントの覆刻などをしていたことがありました。
Utilis
Temptamen de Meliore Utiltate Parte Hanzi
こわざのごときものども。
わくいっぱいに使うべし
字面というのがあります。活字設計では、活字で印刷に使う面について、字のくろい部分というほどの意味です。現代の明朝体は、基本的に正方形に整えて作るものですから、字面は、当然正方形のように見えるのがいいのです。
しかし、ほんとうに印刷面全体を使ってしまうと、あまり見た目がよくないのが経験的に知られています。これを、字がぶつかっているなどとも言います。そこで、活字の印面 (ボディ) に対して、それを縮小した正方形を考えて、それに入れるようにします。これが基準線で、専用エディタでは、文字枠の一番ふとい線のうちがわにちょっとほそい線がありますが、それです。基本的にはこの線を文字の部品を入れる枠と考え、そのなかでめいっぱいに部品を配置すると、ある程度さまになります。
平均字面率というのは、このボディに対する字面のおおきさを言ったもので、90〜95%がふつうかと思います。
このとき、必要に応じて部品のはしっこ (はらいの先など、ほそい部分) を枠からはみださせてみてください。無理にそのようなはしっこを枠に収めると、部品の占める部分が枠から遠ざかってしまい、わくいっぱいに収っていないように見えるのです。cf. u52a6@2
じゅうぶんにおおきくせよ
バランスが取れている、とはどういうことか。それは、結局、いちいちの部品がじゅうぶんなおおきさを持っていることのように思えます。これでもなお感覚的ないいかたなのですが、よりくだいてみると、おおきすぎたりちいさすぎたりする部品がないか、文字が窮屈そうにしていないか、といったことがうまく行っているということなんではないかと思います。
(こういうのを書くときにじぶんの編輯履歴があるといいですね……)
したは揃える
一般的な偏旁など、配置したときに部品が下部で揃うようなことはままあることです。そのようなときは、下部が揃って見えるように配置するときれいに見えます。
偏旁では偏を高くする
ただし、ほんのちょっとです。どうしても偏はほそくなりますから、旁よりひくいとなおのことちいさく見えるのかもしれません。cf.
u62fb@3
部品どうしのくいこみ
Glyphwikiでは、明治時代の明朝体を参照したためか、はらいが比較的長い部品がよく見うけられます。このような部品を扱うときは、ながい部分を隣接する部品のすきまに突き刺すように、すきまを埋めてしまうように位置やおおきさを調整すると、比較的バランスが取りやすくなるかと思います。
Creare Partem Scriptionem
部品を作る。そこにはイレギュラーが潜んでいる。原則と部分的な美点を捨てよ、とひとはいう。
まんなかを意識する
明朝体は、正方形を基本形とするため、各要素をまんなかに置くことが重要になります。線の交差においても、まんなかを意識することは重要です。とりわけ、水平線と交差するばあい、できるだけ水平線のまんなかで交差するようにすると、あるいは、水平線がまんなかに来るように調整すると、よりよいかたちにつながることがあります。
Nomen Scriptione
もじのことば。調査が足りてないのでGlyphWikiに説かれてあることを再説しているかも。
余白のかたちがきれい
文字は四角に書け
と小宮山先生が云ってました。
要素と部品
部品とは、KAGEシステムなど要素を部品化して漢字字形を実現するソフトウェアにおける部品化された要素のことですが、では、要素とはなんでしょうか。漢字とは、基本的に、さまざまな記号をくみあわせてひとつの文字単位を実現していると考えられています。基本的に、それらの記号ひとつひとつが漢字の要素であるので、要素をちゃんと組みあわせれば漢字になるはずです。おおざっぱな理解としては、このようなことを考えればいいのではないでしょうか。
cum solus de peritus non est, audeo cognoscere compositum de Joyo Kanji
常用漢字デザイン批評。IMNAL, though.
字面率
字面率がばらつきがあって,扁平だったり,ちいさすぎたりすることがままある。部品としての利用性を高めるためにも,あるていど揃えるのが望ましいのではないか。
cf. u4e0b@1とu5316@3
左右の重さ
女などの字形の問題点は以前指摘したとおりであるが,このような字形では,左右どちらに重みを付けるかが一字一字で異なる場合がある。たとえば,来はひだりはらいに重みを足しているが,林では,両側のふたつのはらいを重くし,まんなかのはらいはさほど付けないのがふつうである(いけないというわけではない)など。
偏旁のバランス
偏旁となる字形については,つくりのかたちが,上記「じゅうぶんにおおきくせよ」に沿っていることが重要である。
「ふところ」のバランス
「ふところ」というものは,それぞれの文字デザイン関係者で言っていることが違いさえもするが,ありていにいえば,ゲシュタルト心理学的に輪郭線で囲まれた白い部分のことであろう。
そのふところのバランスも考慮して全体の字形を決定するのが望ましい。
各論
偏のかたち
* さんずい
冠のかたち
* くさかんむり